妊娠後の異動先で管理職を解かれたのは男女雇用機会均等法違反だとして、女性が勤務先の病院を訴えています。
◆何があったのか?
広島市の女性は、妊娠後の異動先で管理職を解かれたのはマタニティ・ハラスメント(男女雇用機会均等法違反)だとして、勤務先の病院側を訴えました。
女性側は「妊娠や出産でハンデを負うのは均等法の趣旨に真っ向から反する」と主張し、管理職手当など約170万円の損害賠償を求めています。
これに対し病院側は「異動先に新たに管理職を置く必要がなかった」と反論し、双方の主張は真っ向から対立しています。
(マタハライメージ)
◆マタハラ病院の罪と罰
男女雇用機会均等法第9条は、「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したことなどを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。
しかし、この条項には罰則規定がないため強制力が低く、法律を知っていても女性に不当な取り扱いをする企業や職場があるようです。
一方で、ポストの数や配置などは、経営に深くかかわる部分であり、基本的に雇用側の裁量が尊重されます。
「異動先に新たに管理職を置く必要がない」という病院の主張は、これはこれで理にかなったものと言えるのです。
判例では、管理職の地位にあることの確認を法的に請求することはできないと解されており、法的に請求できるのは損害賠償のみということになります。
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。
これに基づいて、女性は約170万円の損害賠償を求めている訳です。
(最高裁判所)
◆まとめ
今回の裁判、1審、2審は病院側の主張が認められ、女性は敗訴していますが、最高裁で弁論が開かれたため、判決は見直される可能性が高くなりました。
女性の社会進出を一層充実させよう、というのが時代の要望であり、法律判断も時代の流れにそったものに変更していこう、という事だと思います。
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