日本人人質事件発生
2015年1月20日、シリア・イラクで勢力を拡大する過激組織「イスラム国」が、日本人2人を人質に取り、身代金2億ドル(約235億円)を要求しました。
人質とされたのは、民間軍事会社の湯川遥菜さん(42)と、フリージャーナリストの後藤健二さん(1967年生まれ)と見られ、身代金を72時間以内に支払わなければ人質の命はないと警告しています。
イスラム国による日本人殺害警告が確認されたのは初めてとなりますが、なぜこのタイミングで、このような事件が起こったのでしょうか?
政治的理由
きっかけとなったのは、1月17日に安倍首相がカイロで表明した、2億ドルの支援です。
これは、「イスラム国」の台頭に伴う難民支援などのため、トルコやヨルダンなどの周辺国に2億ドルを無償資金協力するというものでした。
しかし、イスラム国の男はこの表明を、「日本の首相へ。お前はイスラム国から8500キロ離れているにもかかわらず、自発的に十字軍に参加した。」と非難しました。
そして、支援額と同額の2億ドルを身代金として要求したのです。
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経済的理由
イスラム国は、「世界一裕福なテロ集団」と呼ばれるほど豊富な資金力で、外国から戦闘員を集め、勢力を拡大させてきました。
その2大資金源は、占拠した油田と石油精製施設を使った石油の密売と、外国人の人質を取って要求する身代金です。
アメリカやイギリスはテロリストとは交渉しない立場ですが、フランスやドイツ、スペイン、イタリアといった欧州諸国では政府が身代金を支払ってきました。
特にフランスは2013年、自国民4人解放のため、西アフリカ・ニジェールのイスラム武装勢力に2000万~2500万ユーロ(27億~34億円)を支払ったとされています。
《惨劇は繰り返されています…》
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まとめ
日本政府は72時間というタイムリミットがある中で、情報収集や人質の解放交渉、身代金をどうするのか、など困難な対応が求められています。
しかし、フランスが支払った身代金(27億~34億円)に比べても、今回の身代金(約235億円)は法外な金額であり、そもそも身代金目的ではないのではないか?との疑問も出ています。
自国民を救出するために難しい判断となりますが、結果としてこれらの身代金はイスラム国を増長させ、新たな誘拐事件を作り出すことを忘れてはいけません。
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