杉本祐一氏(新潟のフリーカメラマン)のシリア渡航・3つの疑問

シリアへの渡航を計画し、安全確保を理由に外務省からパスポートの返納命令を受けたフリーカメラマン杉本祐一さんが、政府の対応を批判しています。
移動や報道の自由にどこまで制限をかけることが出来るか?という問題は本質的に重要で、大いに議論すべきですが、その前段階の行動については以下3つの疑問があります。

1.なぜシリアに渡航するのか?

杉本さんは30年来フリーのカメラマンで、2012年に一度シリアを取材し、2014年10月にもトルコから再度シリア入りを目指しましたが、この時は果たせませんでした。
杉本さんはその後のインタビューで、「アラブの人々が苦しんでいるいま、何もしないで見ているわけにはいかない。私にできるのは撮影し、伝えること」と話しています。
現地の窮状を伝えるのは大切ですが、それはシリア内部の激戦地帯に入り込まないと出来ない事なのでしょうか。
たとえば国境付近や難民キャンプなどにも、困っている人々はたくさんいるのではないでしょうか。
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(杉本祐一さん)

2.なぜ今行くのか?

戦場カメラマンとして有名な渡部陽一さんは、戦争取材の掟の一つとして「戦場が流動的なところには行かない」ことを上げています。
イスラム国という名のテロリスト集団は各地で内戦を続けており、その支配地域はまさに流動的で不安定な状況です。
まして今は、日本人2人やヨルダン軍のパイロットが犠牲になったばかりであり、イスラム国はさらに日本人を捕らえ危害を加えることを宣言しています。
現地の人々の窮状を伝えることは大切ですが、もう少しタイミングを計る事は出来ないのしょうか?

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3.なぜ渡航を公表するのか?

杉本さんは朝日新聞や新潟日報の取材に対し、「2月27日に日本を出発し、トルコを経由してシリアに渡航する」などの計画を明かしていました。
まるで外務省に宣伝しているようなものです。案の定、外務省などから自重するよう要請を受けましたが応じなかったところ、パスポートを没収される事態となりました。
新聞で公表したら、政府がこのような対応をすることは予測できたことであり、まるで止めて欲しくて宣伝したようにも見えます。
そして「報道の自由」を掲げて政府を批判したことで更なる騒動となり、新潟のジャーナリストの顔と名前はその地域や業界だけでなく、広く一般に知れ渡るようになりました。
結果として、シリアに行くというリスクを取ることなく、最大限の広告効果を上げることが出来たわけです。

まとめ

杉本さんは「無理な取材は避け、安全対策はしっかり取っている。今は早く現地に行き、現状を伝えたいという気持ちだ」と話しています。
もう名前は十分売れましたが、本当にまだ行くつもりがあるのでしょうか?
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