2015年2月17日、大塚家具は、会長であり筆頭株主でもある大塚勝久氏が提出した株主提案に反対することを決定しました。
久美子社長・更迭?
大塚勝久会長が、3月の定時株主総会に議案として提出していたのは、勝久氏自身を含む「取締役10人選任」の件と、「監査役2人選任」の2件です。
議案である新しい取締役候補に現・久美子社長の名前はなく、久美子氏を中心とする現経営体制”について、真っ向から否定したものとなっています。
勝久氏と久美子氏は実の父娘であるにも関わらず、なぜこのような株主提案が出されたのでしょうか?
(大塚久美子社長・画像)
株主提案はなぜ出されたのか?
父娘の争いが起こった直接的な理由は、会社業績の悪化です。
勝久氏が育てた大塚家具は、業界に先駆けて大型店の出店に舵を切り、会員制の直接販売で婚礼家具をセット販売し時代の波に乗ってきました。
しかし、SPA(製造小売)で低価格を訴求するニトリや、巨艦店で日本に上陸したイケアなどに顧客を奪われ、近年では苦戦を強いられています。
2014年12月期の業績は2度の大幅な下方修正をし、売上高は期初予想より30億円少ない555億円で、営業利益は約5億円の赤字に転落します。
社長の久美子氏は、従来のやり方を変え、単品の買い替え需要を重視した新機軸を打ち出しましたが、結果を出せなかったことから、今回のお家騒動を引き起こしました。
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根本的な理由
もう一つ、根本的な理由は、創業者と2代目の経営感覚の違いです。
創業者の勝久氏は、桐タンス職人の父の店を子どもの頃から手伝い、中学生の頃には、仕入れや販売、資金調達から決算書作成、税務調査まで一通りこなしていました。
1969年に独立すると、小さな家具店から「よいものを安く」を旗印に出店を続け、日本有数の家具店「IDC大塚家具」に成長させました。
一方、長女の久美子氏は一橋大学経済学部を卒業後、富士銀行(現・みずほFG)を経て家業の大塚家具に入社し、すぐに取締役となっています。
同社で経営企画部長、商品本部長等を歴任した後、IRコンサルティング会社の代表、筑波大学法科大学院、フロンティア・マネジメント執行役員と多方面で経験を重ねてきました。
2人の経歴の違いは、人生観、商売の見方、会社経営に至るまで考え方の相違を生み、久美子氏が大塚家具の社長に就任すると、その違いは決定的なものとなってしまったのです。
まとめ
大塚家具の定時株主総会は3月27日に開催されますが、場合によっては、プロキシ・ファイト(委任状争奪戦)も想定され、全く予断を許さない状況です。
しかし、父娘で争っている間は顧客に目線が届かず、その間に他社への顧客流出は続いていくでしょう。
真に争うべき相手を見誤った企業に未来はあるのでしょうか?
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