2016年4月14日木曜日、午後9時26分、熊本地方で震度7の大地震が発生しました。
今回は、犠牲となられた女性とその家族をご紹介します。
◆益城町55歳女性
最も被害が大きかった熊本県益城町。
同町の馬水地区に暮らす55歳の女性も、自宅が倒壊し、中に取り残されてしまいました。
木造2階建ての家は、1階が押しつぶされ、そばの道路には多数の亀裂が入り、カーブミラーも倒れています。
「お母さん――」
日付が変わった午前0時過ぎ、2階建て住宅の前で若い女性が叫び続けていました。
閉じ込められた女性を助けようと、消防隊員数人が家屋にはしごをかけるなどしましたが、救出作業は難航しました。
◆犠牲者に黙とう!
1時間近くたって機材が到着。
自衛隊や警察も集まり、数十人態勢で救出活動に当たります。
親族や近所の住民らが救出作業を見守り、
「お母さんがんばれ」「しっかり、しっかり」
と、懸命に励ます声が飛び交いました。
しかし、午前3時20分、消防隊員の一人が叫びます。
犠牲者に黙とう!
同時に、女性が泣き叫ぶ声が響き、周囲はすすり泣く声に包まれました。
◆なんで死ぬとね…
午前4時過ぎ、ブルーシートに包まれた女性を、警察官ら約10人が運び出すと、親族が声をかけました。
お母さん、置いていかんでよ。なんで死ぬとね。なんでお母さんだけ……
生き返ってよ、お母ちゃん!
親族の男性は、女性のことを語ります。
いつも顔を合わせて話をしていた。明るい人だったのに、こんなことになって最悪だ。
近所の男性は、
一緒に住んでいた娘さんたちが『お母さん、お母さん』と必死に呼びかけている姿がふびんでならなかった
と話しました。
◆まとめ
《奇跡的に助かった乳児の物語》
熊本地震・救出された8ヶ月女児の『家族』〜父・母・兄・祖父母
歩道の所々に倒れた塀、落ちた瓦の破片、マンホール部分を残して地盤が下がった路面……
運よく生命が助かった人たちも、家を失い、心の整理がつかず、これからどうすれば良いのか分かりません。
せめて、犠牲となった方たちの分まで生きること。
それが、残された私たちにできる、最大のことなのかもしれません。
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