2022年4月23日、北海道知床(しれとこ)の観光船『KAZUⅠ』(カズワン)が浸水事故を起こしました。
知床観光船26人安否不明 遭難か、海保捜索続く
@theokinawatimesよりhttps://t.co/11zGXw0Pg0— カゲロウ (@Kagerou_Kazoku) April 23, 2022
その後、カズワンとは連絡が取れなくなっており、乗客・乗員の安否が心配されます。
今回は、浸水事故を時系列で確認し、事故原因や乗船者の安否をまとめていきます。
- ◆浸水事故の時系列
- 4月23日(土)午前10時00分
- 4月23日(土)午後1時00分
- 4月23日(土)午後1時13分
- 4月23日(土)午後2時17分
- 4月23日(土)午後4時30分
- 4月23日(土)午後6時前
- 4月23日(土)午後6時
- 4月23日(土)午後6時過ぎ
- 4月23日(土)午後7時40分
- 4月24日(日)午前5時5分
- 4月24日(日)午前5時45分
- 4月24日(日)午前10時まで
- 4月24日(日)午後0時まで
- 4月24日(日)午後2時46分
- 4月24日(日)時間不明
- 4月24日(日)午後11時10分
- 4月26日(水)午後4時50分
- 4月27日(木)午後4時30分
- 4月27日(木)午後6時13分
- 4月28日(金)夕方
- 4月29日(土)午前
- 4月30日(土)
- 5月1日(日)
- 5月2日(月)
- 5月17日(火)
- 5月23日(月)
- 5月24日(火)
- ◆乗船者の安否は?
- ◆事故原因は?
- ◆運営会社と社長
- ◆まとめ
- ◇脚注
◆浸水事故の時系列
4月23日(土)午前10時00分
知床観光船『KAZU 1』(カズワン)が、北海道斜里(しゃり)町ウトロの港を出航。
世界遺産・知床半島の断崖の滝やヒグマ、オジロワシなどの野生動物を観察する、計3時間のツアーだった。
知床半島の先端にある知床岬で折り返し、午後1時に帰港する計画。
4月23日(土)午後1時00分
ウトロ港に戻る予定のカズワンが戻らず。
4月23日(土)午後1時13分
カズワンの乗員から海上保安庁へ、
- 船首部分が浸水し、沈みかかっている
- エンジンが使えない
- カシュニ滝のすぐそば
と、通報あり。
海上保安庁は、巡視船6隻と航空機2機を派遣した。[1]
(北海道放送によると、航空機は4機)[2]
4月23日(土)午後2時17分
カズワンと海上保安庁と最後のやり取り。[3]
乗員に関する内容だった。
4月23日(土)午後4時30分
ヘリコプター1機が、現場の斜里町の「カシュニの滝」と呼ばれる場所の周辺海域に到着し、捜索開始。
潜水士が2名帯同。
4月23日(土)午後6時前
巡視船も現場海域に到着し、船体を捜索中。
4月23日(土)午後6時
第1管区海上保安本部は、網走海上保安署に現地対策本部を設置した。
4月23日(土)午後6時過ぎ
日没。
4月23日(土)午後7時40分
第一管区海上保安本部は、航空自衛隊(第2航空団千歳救難隊)に災害派遣を要請し、受理された。
4月24日(日)午前5時5分
通報があった「カシュニの滝」から直線距離で14キロほど離れた知床岬先端付近で、北海道警察のヘリコプターが3人を発見し、救助。[6]
発見時に意識なし。
4月24日(日)午前5時45分
海保の航空機が知床岬先端の岩場で1人を発見し、救助。[6]
発見時に意識なし。
4月24日(日)午前10時まで
海保が3人を発見し救助。[6]
知床岬先端の岩場と波打ち際で発見され、いずれも発見時は意識がなかった。
4月24日(日)午後0時まで
道警ヘリと自衛隊機がそれぞれ1人を発見し、搬送。[6]
容体などは不明。
4月24日(日)午後2時46分
航空自衛隊から新たに1人を救助したという連絡があった。
容体などは不明。
4月24日(日)時間不明
発見した10人の死亡が確認された。
4月24日(日)午後11時10分
新たに性別不明の子供1人を発見。[7]
知床岬の東側の海域で巡視船が見つけたが、搬送時に意識はなかった。
後に死亡が確認された。
4月26日(水)午後4時50分
「知床遊覧船」の桂田精一社長による記者会見が行われた。
会見では桂田社長が、
被害者の方々に対し、大変申し訳ございませんでした
などと3回の土下座とともに謝罪。
事故当日の状況や運航の安全管理体制などについて説明され、会見は午後7時すぎに終了した。
4月27日(木)午後4時30分
海上自衛隊が、知床岬から南南東23.9キロ付近の海域で、2人を発見。
後に死亡を確認。
4月27日(木)午後6時13分
海上保安庁の巡視船が、2人を発見したところから約1キロ離れた海域で、1人を発見。
後に死亡を確認。
4月28日(金)夕方
ロシアより、
ロシア警備艦が27日に国後島西方海域で救命胴衣を着用した漂流者を発見したが、荒天のため見失った
と、ファクス連絡があった。[8]
4月29日(土)午前
海上自衛隊の掃海艇が、水中カメラの映像で、KAZUⅠ船体の一部を発見。[9]
場所は、事故が発生したとみられる「カシュニの滝」付近で、水深約100メートル。
第1管区海上保安本部は、亡くなった14人のうち観光船の乗客として新たに身元が確認された4人の氏名を明らかにした。
- 兵庫県小野市の男性(66)
- 兵庫県小野市の女性(62)
- 岐阜県多治見市の女性(51)
- 福岡県筑後市の男性(51)
4月30日(土)
海上自衛隊の掃海艇の水中カメラで、沈没した船体の捜索を行った。
関係者によると、沈没した船体の内部で、救命胴衣のようなものが漂流しているのが水中カメラ映像で確認された。
また、第1管区海上保安本部は、亡くなった14人のうち観光船の乗客として身元が確認された2人の氏名を明らかにした。
- 東京・葛飾区の男性(35)(死亡が確認された3歳女児の父親)
- 東京・北区の男性(33)
5月1日(日)
海上保安本部と警察は、午前中から交代で無人機を投入し、沈没した船体の開いている後方の客室のドアから船内の確認を試みたが、不調。
午後5時からは、第1管区海上保安本部警備救難部による乗客の家族への説明会が行われた。
5月2日(月)
午前10時ごろ、運航会社「知床遊覧船」の事務所に第1管区海上保安本部の捜査員が入り、業務上過失致死の疑いで捜索開始。
午前10時45分ごろ、斜里町にある豊田徳幸船長の自宅があるアパートに、海上保安庁の捜査員4、5人が家宅捜索。
午前11時10分ごろ、捜査員が書類のようなものが入った箱を持って部屋から退出。
正午すぎ、斜里町にある桂田精一社長の自宅に海上保安庁の捜査員2人が捜索に入った。
午後8時ごろ、「知床遊覧船」の事務所の捜索が終了。
海上保安庁の捜査員は、押収した資料が入っているとみられる段ボール箱を次々と運び出した。
第1管区海上保安本部は、亡くなった14人のうち身元が確認された2人の氏名を明らかにした。
- 北海道北見市の22歳の男性
- 大阪市の43歳の女性
5月17日(火)
船体の捜索や引き揚げを行うため、日本サルヴェージの作業船「海進」が、網走港に到着。
5月23日(月)
作業船「海進」で、KAZUⅠを水深約20メートルの位置につり上げ。
5月24日(火)
状態のままえい航されていたKAZUⅠの船体が、水深182メートルの海底へ落下した。
KAZUⅠをつっていたベルト5本のうち、船尾側の2本が切れていた。
◆乗船者の安否は?
観光船には、子供2人を含む乗客24人と、船長、甲板員を合わせて26人が乗っていました。[5]
うち子供は、7歳の男児と3歳の女児です。
全員、救命胴衣を着用していたということです。
5月3日(火)9時00分現在、救助者は合計14人、全員が死亡となっています。
◆事故原因は?
①高波
気象庁によりますと、オホーツク海ある低気圧の影響で、北海道東部では午前中から次第に風が強まっています。[4]
波も高くなっていて、昼ごろからは波の高さが3メートルほどだったと見られるということです。
現場周辺の北海道網走地方には、波浪と強風の注意報が出ていました。
斜里町のウトロ漁業協同組合によりますと、漁に出た船は午前中のうちに港に戻っています。
観光船は高波で沈没したのでしょうか?
②機関トラブル
一方で、斜里町で釣り船を営んでいる人は、
自分の船よりも大きい観光船が航行できなくなるほど荒れた海ではなかったと思うので、機関故障などのトラブルがあったとしか考えられない
と話しています。
③ロシアが関与?
事故現場は国後島に近いため、
ロシアが関与しているのでは?
と疑う意見もあります。
確かに、ロシアによるウクライナ侵攻を見ているだけに、私も一瞬頭によぎりました。
現在の情報としては、悪天候か船体故障の可能性が高いですが、ロシア説もゼロとは言い切れないでしょう。
早い段階で自衛隊も動いてますしね。
◆運営会社と社長
カズワンの運営会社は、有限会社知床遊覧船。
ホームページには、
日本の最北東端。そこは人々の開拓をまぬがれた日本の秘境。
とのコピーが躍ります。
事故があったツアーは約3時間で、知床半島のウトロ側を周遊するコースだったとみられ、1人8,800円(小学生半額)の料金でした。
社長は、桂田精一(かつらだ・せいいち)氏が務めています。
桂田氏は、北海道斜里(しゃり)町ウトロの出身。
網走市内の高校を出て、茨城県工業技術センター窯業指導所(現笠間陶芸大学校)を卒業しました。
陶芸家として、東京のデパートで個展を開くなど活動していましたが、2007年ごろ地元に戻り、実家を継ぐ形で複数の宿泊施設を経営。
2016年に「知床遊覧船」を買い取り、社長に就任しています。
[word_balloon id=”1″ position=”L” size=”M” balloon=”upper” name_position=”under_avatar” radius=”true” avatar_border=”false” avatar_shadow=”false” balloon_shadow=”true” avatar_hide=”true” box_center=”false”]父親は地元神社の宮司です![/word_balloon]
◆まとめ
今回は、知床観光船の浸水事故における時系列の経緯と事故原因、乗船者の安否を確認してきました。
少しでも多くの命が助かることを願っています。
◇脚注
- NHK 2022年4月23日 26人乗った観光船が浸水か 現場周辺を捜索 北海道 知床半島沖
- 北海道放送 2022年4月23日 知床半島の沖で観光船が“浸水”子ども2人含む26人が乗船…航空機と巡視船が現場で捜索も安否不明、海水温2~3度
- 朝日新聞 2022年4月24日 知床の観光船、最後の連絡は午後2時17分 「浸水」通報の1時間後
- 毎日新聞 2022年4月23日 知床遊覧船不明「何が原因か…」気遣う地元 一帯は波高い状態
- 読売新聞 2022年4月23日 知床観光船「30度傾いている」と報告後、消息絶つ…7歳男児と3歳女児も乗船か
- 北海道ニュースUHB 2022年4月24日 さらに2人救助 計9人に…知床岬先端で発見された7人は搬送時”意識なし” 不明の観光船関係者か
- 共同通信 2022年4月25日 新たに子ども1人救助、意識なし 知床観光船事故、発見11人に
- 毎日新聞 2022年4月29日 ロシア「漂流者を発見したが見失った」と海保に連絡 知床観光船
- 毎日新聞 2022年4月29日 海底に船体、「カズワン」の文字確認 知床・カシュニの滝付近
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