7時のニュースです。また、高齢者による死亡事故が発生しました。
昨今の報道を見ていると、高齢者の運転による事故が多いですよね?
高齢の両親を抱える人にとっては、ご両親の運転が心配になるもの。
しかし、両親には両親の生活があるので、安易に免許証の自主返納を迫るわけにはいきません。
今回は、高齢者運転事故に関する3つの対策をご紹介していきます。
◆本当に高齢者の運転は危険?
そもそも、本当に高齢者の運転は危険なのでしょうか?
以下の表をご覧ください。
原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別死亡事故件数の推移
(警察庁統計、一部筆者にて編集、単位:件)
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | |
19歳以下 | 136 | 143 | 129 | 108 | 106 |
20歳代 | 578 | 566 | 500 | 469 | 403 |
30歳代 | 518 | 485 | 459 | 438 | 389 |
40歳代 | 639 | 586 | 626 | 599 | 524 |
50歳代 | 527 | 559 | 487 | 505 | 494 |
60歳代 | 554 | 560 | 542 | 500 | 474 |
70歳代 | 421 | 425 | 411 | 394 | 457 |
80歳代以上 | 266 | 261 | 256 | 235 | 252 |
合計 | 3,639 | 3,585 | 3,410 | 3,248 | 3,099 |
第1当事者とは、事故当事者のうち、最も過失の重い人のことを指しています。
これを見ると、死亡事故を起こした件数が一番多いのは40歳代なんですね。
多い順では50歳代、60歳代が続き、70歳代も決して少なくはありません。
そして特徴的なのは、5年間を比較すると、70歳代だけが増加しているんですね。
この辺が「高齢者の死亡事故が多い」という印象につながっているのでしょう。
◆免許証の自主返納制度
高齢者による事故の増加を受けて、
免許証を自主返納しましょう
という気運が高まっています。
自主返納の手続きは難しいものではなく、警察署や各運転免許センターに本人が申し出れば、その日のうちに完了します。
最近では、杉良太郎さんや尾木ママが返納して、話題になりましたね。
ただ、たくさんの指摘が合っている通り、芸能人と一般人では車の必要性が違います。
さらに、地方における車の必要性は、都市部の人が考えるよりも、ずっとずっと深刻な問題なのです。
高齢者が運転をやめた途端、家に引きこもりがちになるため、要介護となる年齢が早まるリスクも指摘されています。
高齢者に自主返納をすすめる他に、もっと良い手はないのでしょうか?
◆免許証を返納する前に考えたい3つの対策
①踏み間違い防止装置
個人的には、もっとも現実的で、もっとも効果が高い方法だと思っています。
後付けの「踏み間違い防止装置」をマイカーに取り付ければ、少なくともブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故を防止できるわけです。
オートバックスの『ペダルの見張り番』が売れてるみたいですね。
工賃込みで、税込み32,399円です。
さらに、東京都をはじめとした全国の自治体は、「踏み間違い防止装置」の装備を促進しており、東京都は9割を補助する方針です。
前述の『ペダルの見張り番』ならば、自己負担が3,200円ほど。
3,000円程度の自己負担なら、導入も進んで行くでしょう!
この装置の問題点としては、適合しない車種があること。
そして、坂の多い街では使い勝手が悪いことも指摘されています。
坂道ではどうしてもアクセルを踏み込むことがあるのですが、「アクセルの踏みこみ=踏み間違い」と認識され、いちいちアクセルがキャンセルされてしまうんですね。
ただ、こうした問題は技術革新でクリアできるもの。
メーカーさんの努力に期待したいですね(^_-)
②超小型モビリティ
踏み間違い装置とともに脚光を浴びているのが、「超小型モビリティ」。
トヨタの『コムス』はすでに市販されていますね。
この車の特徴は、
- 本体価格80万円と、普通の車に比べて安価であること
- 小型でゆっくり走るため運転しやすいこと
- 家庭用の100ボルト電源で充電できること
- 車検・車庫証明・重量税・取得税が不要であること
などなど。
トヨタの担当者は高齢の人から、
(コムスのことを)知っていれば免許返納しなかったのに…
とよく言われるのだとか。
この車の問題点としては、1人乗りであることでしょうか。
実はトヨタは2人乗りタイプも開発しているのですが、こちらは現状、公道を走れません。
正確にいうと、車両1台ごとに国の審査を受ければ、その自治体内の行動を走れるのですが、手続きが複雑すぎて、現実的ではないのです。
この問題は、国や自治体の努力によってクリアできるもの。
お役所仕事をせずに、頑張ってほしいものですね(^_-)
③返納ではなく「乗らない」
自主返納ではなく「自主的に乗らない」という選択肢があるのではないかと思います。
時代は自動運転の時代に入ってきています。
自動運転の技術は、一般的なイメージよりもかなり進んでいて、普及していないのは法整備が遅れている面が大きいです。
となると、法律は追いついて来れば、自動運転の車に乗れるようになるのです。
自動運転は初心者であっても高齢者であっても、交通事故の確率が格段に減少します。
しかし、免許を返納してしまえば、そういう安全な車であっても、一人で乗ることは出来なくなるでしょう。
だから、本格的な自動運転の時代まで、自主的に免許証を封印するのです。
もちろん、強いセルフコントロールが求められますが、「禁煙」や「禁酒」ができるのならば、「禁車」も不可能ではないと思うのですが…
◆まとめ
という訳で今回は、運転免許を自主返納する前に考えたい、3つの対策をご紹介してきました。
悲しい死亡事故は、できる限りなくさなければならないのが大前提。
しか一方で、高齢者には高齢者のリアルな生活があります。
この2つの命題を解決するために、国が、自治体が、メーカーが、そして私たち一人ひとりが考えていかなければなりません。
コメント