旅行大手HISが「ラグーナ蒲郡」の事業承継を決めました。
ラグーナ蒲郡とは、愛知県や蒲郡市、そしてトヨタ自動車が経営にかかわる第三セクターであり、テーマパーク「ラグナシア」やショッピングモール、リゾートマンションなどで構成されるリゾート施設です。
「第三セクター」「テーマパーク」という負のキーワードを「トヨタ自動車」という正のキーワードがどこまでカバーできるかが注目されましたが、2008年のリーマンショックの影響等もあり、自主再建を断念しました。
そこで白羽の矢が当たったのが、「再建請負人」として名高いHIS。西の横綱と呼ばれながら、一度も利益が出ていなかったテーマパーク「ハウステンボス」をわずか一年で黒字化し、優良テーマパークへ育てた実績は経済界に轟いています。
このような実績から、HISには、海外も含めて様々な再建の依頼が持ち込まれているそうです。その中で、なぜラグーナ蒲郡を選択したのでしょうか?
HISの澤田秀雄会長によると、再建を引き受けた理由は「最も難しいから」だそうです。
ラグーナの規模は小さく、施設は中途半端、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンとも競合する立地であることがその理由です。
しかし、私はHISの狙いは別にあると思います。
澤田会長が、ハウステンボスの再建を引き受けた一番の理由をこう述べています。「高い山があると登りたくなるという血が騒いだこと。ぜひチャレンジしてみたい」
この当時から現在まで、澤田会長のチャレンジ精神は一貫していることが分かります。これは嘘ではないでしょう。
しかし、澤田会長は夢想家ではなく、ビジネスマンです。
では、澤田会長の真の狙いは何でしょうか?
カジノです。
実際、長崎県では、官民一体となってカジノ誘致に取り組んでおり、その候補地はハウステンボスです。また、一時期、HTBクルーズという名称で上海~長崎間の船便航路をスタートさせており、日本領海を出た後は船内でカジノを提供していました。既にカジノ事業がスタートしているのです。
おりしもカジノ法案は、年内成立の公算が高まってきています。
安部首相が掲げる成長戦略の目玉でもあり、カジノ特区における合法化は時間の問題です。
そしてカジノ特区に名乗りを上げるうえで、既に実績のあるHIS・長崎県グループは有力候補と言えます。
ここまでの道筋が見えた現在、次の一手として打ち出されたものがラグーナ買収と見るべきでしょう。ハウステンボスでカジノを成功させ、そのビジネスモデルを量産化していく。
高い山に挑戦したいという山男の血。
そしてビジネスマンの嗅覚。
HIS澤田会長の更なる一手に注目したいと思います。
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