空港に到着した航空機の非常用ドアを勝手に開けて
4メートル下の地面に飛び降りたとして、
水戸市の無職男性(33)が逮捕されました。
◆無職男性の罪と罰
(1)建造物侵入罪(刑法130条)
無職男性の逮捕容疑は建造物侵入罪です。
飛行機から出て行ったのに、なぜ侵入罪となるのでしょうか?
それは、このケースでは、飛行機を出たのではなくて、空港内の
敷地に侵入したと考えるからです。
空港内の敷地は、航空機の安全運航のため、乗客が自由に入れる
エリアと、一般人の立ち入りを制限するエリアに分けられて
います。
このため、正当な理由がないのに、空港管理者の意思に反して
制限されるエリアに立ち入ると建造物侵入罪が適用されるのです。
建造物侵入罪は刑法130条により、3年以下の懲役または
10万円以下の罰金刑とされています。
(イメージ)
(2)威力業務妨害罪(刑法234条)
また、威力業務妨害の疑いもあります。
威力業務妨害とは、直接的・有形的な手段をつかって、他人の
業務を妨害することです。
今回の事件で立原寛勝容疑者は、登場していたフィリピン航空の
正常な離陸作業を妨害し、同じ機体の折り返し便の運航に
大幅な遅れを発生させました。
威力業務妨害罪は刑法234条により、3年以下の懲役
または50万円以下の罰金とされています。
(3)併合罪
建造物侵入と威力業務妨害が、別の行為と見なされれば
2つの罪は併合され、重い方の刑の1.5倍が課されます。
今回の場合、どちらも3年以下の懲役刑なので、
3×1.5=4.5年以下の懲役となります。
◆なぜ飛び降りたのか?
到着したばかりの航空機から飛び降りるという行為は
一見して意味不明であるため、自決未遂説や危険薬物説
などの可能性がとりざたされています。
今後の捜査の進展に注目したいと思います。
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