東大阪市議会の河野啓一副議長(67)が、議会が定めた運用マニュアルに反して政務活動費を支出していたことが、分かりました。
◆何があったのか?
河野啓一副議長は姉の夫に2011年10月までは月6万円、2011年11月以降は月7万5000円の給与を支出しており、過去5年間で計約400万円を支払っていました。
さらに、「改装費」を含めた事務所費を5年間で計約330万円を支出していたことも分かりました。
不適切な政務活動費の支出は5年間の合計で730万円にのぼります。
運用マニュアルは、議員の親族に対する人件費の支払いや、改装費の計上を認めていません。
(河野啓一副議長)
◆河野啓一 副議長の罪と罰
運用マニュアルとは、正しくは「東大阪市議会政務調査費運用マニュアル」のことを指します。
これは、政務調査費の透明性を向上させるとともに使途の具体化を図ることを目的として、市議会が独自で作成したものです。
運用マニュアル「7.人件費(3)人件費としての使途の対象とならないもの」には、「議員親族に対する人件費」がはっきりと書かれています。
河野副議長は「義理の兄を親族と認識していなかった」と弁明していますが、そんなことは小学生でも認識できることです。
ちなみに民法上725条は親族を、「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」と定めており、法律上も社会通念上も義兄は立派な親族です。
また、運用マニュアル「8.事務所費(4)事務所費としての使途の対象とならないもの」には、「事務所の建築工事費、修繕費」が記載されています。
いずれも、常識で考えるかマニュアルを読めば、政務活動費として不適切であることは明確です。
副議長を務めるベテラン議員が知らなかったでは済まされないでしょう。
(運用マニュアル)
◆まとめ
河野副議長は「認識が甘かった。さらに精査したうえで返還する」と話し、副議長を辞職する考えを示しました。
副議長を辞めれば良いという問題ではありません。
政務活動費の不適切な支出は、「副議長」としてではなく、「市議会議員」としてなされているからです。
東大阪市議会は、当初、このマニュアルを作成する理由として以下のように説明しました。
「残念なことに他の地方議会において、その不適切な使途をめぐって住民訴訟等が相次ぎ、政務調査費に対する市民の不信感が大きくなってきている」
この時は、まさか、自分が投げた言葉が、ブーメランのように返ってくるとは考えなかったのでしょう。
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