体に装着して使用するウェアラブル端末がスマホの次を担うデジタル機器として注目されています。
◆眼鏡型ウェアラブル端末の実用化
Google Glassの一般向け発売も近いと噂され、眼鏡型ウェアラブル端末は本格普及前夜といった様相ですが、ビジネスの現場などには一足早く本格使用が始められています。
その中で医療の現場においては、手術準備の支援に眼鏡型端末を導入し、針や糸、ガーゼなど100点にもおよぶ医療器具の準備を支援するシステムが実用化されています。
具体的には、ウェアラブル端末のディスプレイに医療材料の写真や保管場所、棚番号が表示され、担当者はそれに従って迷わずに準備作業を進めることができるというものです。
このシステムの導入により、手術準備の作業が軽減されてスピードアップにつながるほか、医療知識を持たない派遣社員でもこなせるようになり、看護師が他の専門的な作業に時間を割けるというメリットも生まれます。
良いこと尽くめのように感じる手術準備支援システムですが、2つの不安な事項が考えられます。
(手術準備支援システム・ムラタシステムHPより)
◆「手術準備支援システム」に対する2つの懸念
一つ目の懸念は、単純に間違えてしまうのではないか、ということです。
プログラム等の欠陥により誤った手術器具が準備されるということもあるでしょうが、恐らく使用する人間が間違えることの方が多いと思います。
システムを使わなくても人間は間違えるのですが、間違えることを知っている人間は二重三重のチェックにより、ミスを極力減らす努力をしてきました。
しかし、システムを使ったことによる安心感が人間の警戒心を鈍らせ、結果として取り返しのつかない重大事故に発展する恐れがあります。
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◆メリットの裏返し
二つ目の懸念は、看護師が他の専門的な作業に時間を割けるようになるというメリットの裏返しの部分です。
昨今の電子カルテシステムの普及は、カルテ出しや医療点数計算などの事務作業を大幅に効率化し、結果として事務系職員の削減につながりました。
手術準備を派遣社員でもこなせるようになるということは、その分、正社員を削減できるという事でもあり、削減の対象となるのは恐らく看護師ではなく、事務系・業務系の正社員です。
◆まとめ
手術準備支援システム導入に関する懸念を上げましたが、新しい技術が導入される際には必ず問題点が出てくるものです。
問題点があるから新しい技術を受け入れないということではなく、技術革新の結果として発生する現象にも目配せし、全体として最適な形を追求するという姿勢が必要なのではないでしょうか。
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