2014年12月20日、山形市中心部で、56歳の東北文教大准教授がひき逃げされて死亡した事件で、車を運転していた60歳の高校教諭が道路交通法違反(ひき逃げ)の罪で起訴されることが分かりました。
◆過失致死は免除される?
もともと山形警察署は、教諭を道路交通法違反(ひき逃げ)および自動車運転処罰法違反(過失致死)で逮捕していました。
ひき逃げは、道路交通法第117条第2項により、10年以下の懲役または100万円以下の罰金であり、過失運転致死罪は自動車運転処罰法第5条により、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されます。
しかし、山形地検は道交法違反の罪のみで起訴する方針であり、過失運転致死は処分保留とする方針です。被害者を1・5キロ引きずって生命を奪った罪は免除されてしまうのでしょうか?
(山形地検)
◆処分保留とは?
処分保留とは、被疑者(容疑者)を逮捕し勾留したものの嫌疑が十分に認められないため、起訴するか起訴しないかの判断を一旦保留するものです。
通常、処分保留された被疑者は釈放されるケースが多いため、無罪放免となったようなイメージがありますが、そういう訳ではなく引き続き捜査が行われます。
教諭の場合は、過失運転致死の罪が免除された訳ではなく、また、ひき逃げの罪で起訴されるため、釈放にもならないと思われます。
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◆教諭が処分保留となった理由
教諭が過失運転致死について処分保留となった第一の理由は、起訴しようにも証拠が揃わず、本人も否定しているためです。
そもそも教諭は、ひき逃げについても供述が曖昧であり、当初は現場付近を通ったことすら否定していました。
しかし ひき逃げについては、車体底部にあった血痕から採取したDNA型が被害者と一致したことなどから証拠が揃い、起訴に踏み切ったのだと思います。
◆もう一つの理由
もう一つの理由として考えられるのは、もっと大きな罪となる可能性があるということです。
捜査当局は現場での実況見分や同型車両と人形を使った実験などを行い、当時、教諭が被害者を引きずったことを認識できたかなどを調べています。
また、知人が同乗していたことも後から判明しており、被害者を引きずっていることに気が付いていた可能性が広がっています。
気が付いていたのならば、「被害者が亡くなるかもしれず、そうなっても構わない」という未必の故意が成立し、刑法第199条の罪を構成するのではないでしょうか?
◆まとめ
事件発生から正月をはさみ20日以上経っているため、「同乗者は警察関係者だったのではないか?」という噂もたっているようです。
あらぬ疑いをかけられぬよう、迅速な捜査を期待したいと思います。噂が事実でないのならば。
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