2015年1月22日、福岡簡易裁判所でアパマンを巡る訴訟の判決がありました。
社員の自宅に侵入・郵便物盗む
この事件は、アパマンの男性社員(32)が会社を国土交通省に内部告発したことから、その情報を得るため上司が男性宅に無断で侵入し、郵便受けにあった複数の郵便物を持ち出したものです。
内部告発の内容は、アパマンショップが管理する福岡市の2件のマンションで、前の入居者が自殺したことを説明せずに賃貸しているというものでした。
男性はアパマン側の一連の行動により精神的苦痛を受けたとして、同社グループに対し20万円の損害賠償を求め、提訴しました。
アパマンの民事責任
福岡簡裁は「(同社がとった行為は)内部告発に関する情報を得るためで、明らかに不法行為」と指摘し、同社に14万円の支払いを命じました。
民法第710条は、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合(略)財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と定めます。
この条項は、被害者の精神的な損害を保護する、いわゆる慰謝料請求を根拠づける条文とされています。
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アパマンの罪と罰
アパマン側は、他の罪も犯していると考えられます。
まず、正当な理由がないのに、人の住居などに侵入した者は、刑法第130条により、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
また、正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、刑法第133条により、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科されます。
ただし、上記の刑法違反は個人のみが処罰の対象となります。
さらに、宅地建物取引業法は、借り手の判断に影響する重要事項の事前説明を義務付けており、自殺や殺人事件が起きた「事故物件」は一般的に対象とされます。
重要事項説明義務違反は宅建業法第65条・66条により、指示・業務停止・免許取り消しなどの処分が下されることとなり、これは法人も対象となります。
まとめ
今回、告発を行った男性は、会社側の内部告発者捜しによる被害を告発先(国土交通省)に訴えましたが、警察に相談するように伝えられただけで、結局は裁判で訴えるしかありませんでした。
公益通報者保護法は、通報を理由とした解雇を無効とし、不利益な取り扱いを禁じていますが罰則はありません。
今回の訴訟が、内部告発者の利益を守る取り組みに繋がれば、男性も救われると思います。
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コメント
東京の支店でもk課長の恐喝メールを内部告発した人間を守るどころか首にしてますから、いっぱいありますよ。この会社。
会社は社員を守る存在であって欲しいものですね。。