2015年2月1日、イスラム国は拘束中のジャーナリスト・後藤健二さんを処刑したとする新たな映像を公開しました。
なぜ処刑に踏み切ったのか？
映像には、いつもの黒ずくめの男とオレンジ色の服を着せられた後藤さんが登場し、男は手にしたナイフを後藤さんの首元に突きつけ、その後、犠牲となった後藤さんの画像が映し出されました。
日本にとって、特に心情的には最悪の結果となった訳ですが、イスラム国にとっても人質というパイを失うこととなり、良い結末とは言えないでしょう。
それにも拘わらず、なぜイスラム国は処刑に踏み切ったのでしょうか？
交渉決裂
直接的な理由は、日本またはヨルダンとの交渉が決裂したと判断したためでしょう。
イスラム国は後藤さん解放の条件として、ヨルダンで収監中のリシャウィ死刑囚の釈放を求めていました。
日本政府はヨルダンに後藤さん救出に対する協力を依頼しましたが、当然、死刑囚を解放させる権限などなく、ヨルダン政府の対応に任せるしかありません。
ヨルダンとしても、外国人のために死刑囚を解放する（＝テロに屈する）という行動はとることができず、双方に妥協点は見いだせなかったのでしょう。
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もう一人の人質
それに、イスラム国には、ヨルダン軍パイロットのカサスベ中尉という、もう一人の人質が存在します。
ヨルダン政府は、カサスベ中尉とリシャウィ死刑囚との人質交換には応じる構えを見せており、裏では後藤さんを含む2対1の人質交換を交渉していた可能性もあります。
しかし、これはイスラム国にとっては不利な条件と映ったのでしょう。カサスベ中尉だけでもリシャウィ死刑囚との交換は出来るからです。
イスラム国は、不利な条件での人質交換よりも、日本政府や国民や事態を注視している世界への見せしめを選んだ方がメリットが高いと判断したのだと思います。
まとめ
イスラム国は「我々はどこであろうと、日本人を見つければ危害を加える。日本にとっての悪夢が始まる」と言い放ちました。
恨み言や脅しにも聞こえますが、犯行予告ととることもできます。
奇しくも、朝日新聞のイスタンブール支局長がイスラム国勢力範囲のアレッポで取材をしていることが分かっていますが、アレッポは後藤さんたちが消息を絶った町です。
後藤さんを処刑した理由は、他にも簡単に日本人を誘拐できそうだと考えたからなのかもしれません。
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