2015年2月22日、日本最西端の島の沖縄県与那国町で、陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備の是非を問う住民投票が行われます。
与那国・自衛隊配備を巡る住民投票
防衛省は、南西諸島における防衛強化の一環として、2015年度中に沿岸監視部隊約150人と沿岸監視レーダーを配備することを目指しています。
与那国島は日本最西端の島で、中国が支配を伺う尖閣諸島から約150キロの好位置にあり、防衛省は監視部隊を通じ、航空機や船舶の動きを把握する狙いがあります。
住民投票の賛成派は、部隊が配備されれば人口が増え、税収増や活性化につながると主張しており、反対派は、レーダーの電磁波による健康被害などを訴えています。
住民投票にかければ、有権者の公正な判断が下るイメージがありますが、この住民投票には日本の将来に禍根を残しかねない大きな問題が3点も含まれています。
外国人・中学生へ投票権
1つは、住民投票における投票資格の問題です。
公務員の選挙権が満20歳以上の男女に保障されていることは中学社会で学ぶことであり、最近では国民投票権を18歳以上と規定する法律が成立しましたが、実施例はありません。
さらに歴代の政権は外国人に参政権を認めることを憲法違反と捉えており、これに反対する意見も根強くありますが、難しい論点であり時間をかけて熟考すべき問題です。
しかし、今回の住民投票は論理的な理由も示されないまま、中学生以上の未成年者と永住外国人に投票権を与えました。
自衛隊反対派は前回の町長選で僅差で敗れており、投票権を広げた理由に劣勢を挽回する意図があることは明確です。
このような小手先の戦術に、時間をかけて議論してきた憲法解釈が簡単に捻じ曲げられてしまうことに、大きな違和感を覚えます。
国防政策を住民投票で?
2つ目の問題点は、国防政策に住民投票で口出しをすることです。
当然のことながら、国防政策は与那国島だけの問題ではなく、日本国民全体に影響がおよぶ事項であり、日本国政府が責任を負って遂行すべき政策です。
沖縄には基地負担の問題があり、地域住民の意見に耳を傾けることは必要ですが、決定するのはあくまで日本国政府です。
実は、今回の住民投票に法的拘束力はありません。しかし、あたかも住民投票で国防政策を決定しているように見えるため、このような住民投票はそもそも適切ではありません。
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住民投票自体が問題
3つ目の問題点は、住民投票そのものです。
埼玉県では、小中学校にエアコンを設置しないことを決めた市長の方針に反対して、住民投票が行われました。
与那国島では、自衛隊の配備に賛成か反対かを問う首長選は2013年に行われており、賛成派の現町長が当選したにも関わらず、住民投票で改めて賛否を問う事となっています。
これらは、イチャモンをつける手段として住民投票が使われており、住民投票を直接請求できる仕組みを定めた地方自治法の趣旨に反しています。
このように住民投票の濫用が出てくるようであれば、地方自治法を含めた制度の改正が必要かもしれません。
まとめ
自衛隊の配備予定地はすでに工事が始まっており、来年度末までに完了する計画です。
政府には、日本の国益を念頭に、住民の声に耳を傾けつつ、国防政策を進めてもらいたいと思います。
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