2015年4月27日、大阪都構想の賛否を問う住民投票が告示され、5月17日の投開票に向け、賛成派・反対派の動きが活発になってきました。
今回は、大阪都構想のデメリットについて、一般市民・反対派・賛成派の立場で考え、それぞれの「ホンネ」を考察します。
◆大阪都構想とは？
大阪都構想とは、橋下徹代表率いる地域政党「大阪維新の会」の一丁目一番地の政策であり、大阪市を解体し、5つの特別区を設置するというものです。
都構想の最大の目的は、大阪府と大阪市が別の方向を向いている状態を解消し、大阪のパワーを一つに集約し、大阪の活気と存在感を取り戻そうというものです。
よく、メディア等で、「府と市の非効率な二重行政の解消が目的」と説明される事がありますが、それは期待される効果であり、あくまで主目的は「強い大阪を作ろう」という政策であると思います。
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◆一般市民から見たデメリットとは？
このように、強い大阪を目指す「大阪都構想」ですが、大阪の一般市民にとってはどのようなデメリットがあるのでしょうか？
最も分かりやすいのが、600億円かかると言われる統合費用です。勿論、これを上回る統合効果があれば良く、橋下市長は2045年度までに2762億円の財源を捻出できるとしています。
他にも、政令指定都市の権限や財源の低下、行政サービスの悪化等が指摘されていますが、これはやり方次第の面が大きく、都になったから悪化するとは言い切れません。
むしろ、都構想では「政令指定都市・大阪市」や旭区、阿倍野区など24区の名称が消える事は確実であり、市民が感じる「寂しさ」が最大のデメリットなのかもしれません。
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◆反対派から見たデメリットとは？
反対派は、当然のことながら都構想はデメリットだらけと主張していますが、その多くは「現状のままでも強い大阪を作ることや二重行政をなくすことは可能」というものです。
「都」になってもならなくても目的を達成できるのであれば、「都」になっても良いと思うのですが…何か反対する本当の理由がありそうです。
反対派の代表格と言えば、大阪市議会議員です。大阪市が解体されれば大阪市議会も解体され、市議会議員の多くは（選挙を経て）特別区の議員に納まる事になるでしょう。
そうなると、まず、現在100万円弱とされる大阪市議会議員の月額報酬は、区議会では3割程度下がると予想されます。
さらに、知名度抜群で都道府県なみの力を持っていた「大阪市」の議員から、豊中や高槻と同じ「中核市」レベルの議員となるのですから、都落ち感は否めないでしょう。
その他にも、選挙区割が変わることにより、これまで築いてきた支持層や影響力を再構築しなければならないなど、確かに市議会議員個人の立場から見るとデメリットが多いですね。
◆賛成派から見たデメリットとは？
賛成派の代表格は、大阪維新の会であり、橋下徹・大阪市長です。
自らが進める政策が実現した場合のデメリットというのも変ですが、都構想が実現すると、やはり大阪市が無くなる事により、大阪市長・大阪市議という立場と既得権は失うことになります。
しかし、それよりも都構想が実現できなかった場合のデメリットの方が大きいでしょう。
橋下徹市長は、都構想の住民投票で過半数が取れなかった場合、2015年12月の市長任期満了に伴い政治家を辞めると公言しています。
橋下氏は、政治家以外でも弁護士やメディアなど活躍の場がいくらでもありますが、維新系の議員にとって、政策の象徴である都構想に敗れ、政党の象徴である橋下氏を失えば、死活問題となります。
賛成派にとって、維新系議員にとって、大阪都構想というのは必ず実現しなくてはならない橋頭堡なのです。
◆まとめ～大阪都構想・真のデメリットとは？～
先述の通り、橋下徹市長は住民投票で敗れた場合、「住民からノーを突きつけられたら政治家としての能力がなかったということだ」とし、政治家を辞めると公言しています。
橋下氏のやり方には賛否があるものの、ぶれずに大阪都構想を掲げ続け、住民投票まで漕ぎ着けた行動力は、他の政治家には間違いなくないものです。
政治家引退の意向が本当であるとしたら、大阪都構想最大のデメリットとは、日本が稀代の政治家を失ってしまうリスクを伴っている事なのかもしれません。
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