2015年7月19日、静岡県の河川で、7人が感電し、うち2人が死亡する事故が発生しました。
◆静岡・西伊豆の感電事故
事故は、7月19日午後4時半ごろ、静岡県西伊豆町一色の仁科川周辺で発生しました。
事故にあったのは、遊びに来ていた神奈川県内の2家族6人と、助けようとした地元の人の計7人です。
このうち、川崎市から来ていた家族の42歳の父親と、逗子市から来ていた家族の47歳の父親が亡くなり、他の5人は重軽傷を負いました。
◆動物よけの電気柵で感電死?
感電の原因は、動物よけの電気柵でした。
事故が発生した川の左岸にはアジサイ畑が設置されており、シカがアジサイを食べてしまうのを防ぐため、アジサイ畑の所有者が電気柵を設置したものです。
警察は、電気柵の線が、いつなぜ切れたのか、また電気柵の安全管理はどのようになっていたかなど、事故が起きた原因と所有者の安全管理について調べています。
電気柵イメージ(Amazonリンク)
◆電気柵設置に関する不備
事故の原因となった電気柵は、家庭用コンセント(100ボルト)を電源にしており、電圧を調整するための変圧器が付いていましたが、変圧器が作動していたかは不明です。
電気柵は本来、「超高圧・超短時間」の電気ショックを与えるものであり、家庭用100ボルトがそのまま流されると、動物や人間の生命に深刻な影響を与えるものとなるでしょう。
また、30ボルト以上の電源を使用する電気柵を、人が容易に立ち入る場所に設置する場合、漏電遮断器の設置が義務付けられています。
しかし、今回の事故では、電線が水に漬かった状態で、川の中が「ピリピリした」状態になっていたため、漏電遮断器は設置していなかったか、作動しなかった事になるでしょう。
更に、電気柵を設置した者は、経済産業省が定める「電気設備技術基準」により「感電注意」などの表示が義務付けられていますが、周囲に表示板は見当たりませんでした。
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◆アジサイ畑所有者の罪と罰
以上のように、本件の電気柵の設置者は、本来必要な注意をおこたった可能性があります。
業務上必要な注意をおこたり、それが原因で人を死傷させる行為は、刑法第211条の「業務上過失致死傷罪」を構成します。
法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。
刑務作業の義務があるのが「懲役」であり、義務がないのが「禁固」ですが、何もしないのも辛いため、ほとんどの人は刑務作業を希望するそうです。
◆まとめ
アジサイ畑の所有者の話では、昼間は、電気柵の電源を切るようにしていましたが、たまたま当日は電源が入ったままだったという事です。
不運も重なったのでしょうが、今回の事故では、生じた結果があまりにも重大でした。
事故を教訓に、全国の電気柵を点検して、同様の事故が発生しないようにすることが必要です。
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